静岡県浜松市の行政書士事務所 053-589-3376 TEL

Q&A

Q1.息子も娘も、他県に住んでいる。このコロナ禍で、家族全員が揃うことがなくなった。
私たち夫婦も高齢で、この状況下で死亡したら、子どもたちが兄弟同士で揉めてしまうのではないかと心配。

保有財産の不動産の占める割合が多い場合、法定相続分で分けることが難しく、相続人同士が揉める要因の1つです。
父親が亡くなり、母2分の1、長男、長女4分の1ずつに分けようとすると、現在の住まいを売却して現金にかえて、となりますよね。遺言を遺して、現在住まいである土地建物を長男に相続させ、民法改正により創設された配偶者居住権を設定して妻にそのまま住まわせ、預貯金については、妻に多く残し、長女にもいくらかを遺すというように、それぞれの相続分を指定しておけます。
そして、配偶者居住権のメリットは、2次相続の際も母の財産ではなく、すでに長男の財産となっているため、揉めごとが起きにくいということです。長男は、母の死後、土地家屋を自由に処分できます。
また、生命保険を活用して、契約者、受取人を長男、被保険者を父という保険を契約し、父の死後、土地家屋はすべて長男が相続し、保険金で受け取った額を代償分割し、母、長女に分けるというような方法もあります。この保険は長男が支払っていることとなっているため相続財産でも、みなし相続財産でもありません。

Q2.妻が教育熱心であったため、子どもたちは有名私立大学を卒業した後、大手企業に就職しそれぞれ経済的に自立し生活している。子どもたちのことは全く心配していないが、自分が死んだ後、持病がある妻のことが気にかかる。

公正証書遺言を遺して家族に貢献した妻に多くの財産を遺せます。また、息子、娘たちに納得がいくよう、遺言に付言をつけて、妻に多く遺す理由を、記しておくと遺された家族に思いが伝わり、相続人間での紛争が起きにくくなるようです。
自筆証書遺言でも、自筆証書遺言書保管制度を利用して、遺言書が後から出ていたなど一時的にでも紛争が起きることを回避できますし、家庭裁判所による検認手続きの必要もなくなります。(但し、保管制度を利用すれば、有効な遺言書と保証されるわけではありません)

Q3.最近夫の反応がどうも変…。まさか認知症?
不動産、預貯金のほとんどが夫名義になっているので今後が心配。今のうちに何かしておけることはあるの?

成年後見人、という言葉を思い浮かべる方も多いかと思いますが、1度後見人をつけてしまうと、家庭裁判所が間に入るため、自分の夫のことなのにかえって不自由が生じることもあります。意思決定者を家族の誰かにすることにより、夫の意思低下によるリスクを軽減でき、夫の亡くなった後の紛争を回避できるなど、家族信託を利用するのも1つの方法です。

Q4.父が亡くなり農地を相続した。所有権移転するだけでよいの?

相続で農地を取得した場合農地法の許可申請は必要ありませんが、権利を取得した者の氏名、土地所在地、面積などを農業委員会に届け出る必要があります。この届出をしないと10万円以下の過料に処されます。

Q5.息子が結婚を機に地元に帰ってくるという。
家を建ててやりたいが、土地はあるが田畑しかない。田畑を売って別の宅地を買うしかないのかな?

農地を転用して、宅地に転用できる農地とできない土地があります。周辺の農業者の生産性を妨げてしまうような場合や、市町村が農用地として利用すべき土地として定めた区域内の農地(青地農地)であったり、土地改良事業の対象となった農地として良好な条件を備えた農地であったりすると、原則的には許可が下りませんが、息子のために分家を建てる必要性など説明が充分にされていれば、許可される可能性はあります。

Q6.先祖代々農業をやっていた。
息子は大学を出て転勤の多い金融関係のサラリーマン、孫は社会人3年目、仕事が面白くなってきたところ。自分も高齢で、今は自分達が食べる分の畑しか使っていない。このまま自分が死んだら、相続する息子たちは使い道のない土地をどうしたらよいか困るのではないか?

現状、耕作を休止されている状態ですと、農地のまま農業従事者に売ることもできません。ご自身が亡くなって相続により息子たちが農地を取得する場合、許可申請は必要なく届出で済みますが、その後、農地を自分たちで使うために転用しようとすると、農地法4条の許可申請または、市街化区域内の農地でしたら届出で済みます。
また、農地を購入して宅地にしようと考えている人に譲り渡そうとすると、譲渡人と譲受人とで農地法5条の許可申請をすることとなります。
現況でソーラーパネルの設置や、家を建てるなどの計画がない場合は、あらかじめ宅地にということで4条の許可申請はできません。